いるかです。
今週は、国際オープンアクセスウィーク(OAW)ということで図書館を飛び出して、OAについて先生方にインタビューしようと思います!
OAW1日目の今日は、微生物学講座 石原 和幸 先生の研究室にお邪魔して、お話を聞いてきました。
1. オープンアクセスを実現する場合、OA雑誌とリポジトリ登録可能な雑誌のどちらを選びますか?同じ研究をしている人が読む雑誌に投稿します。
雑誌を先に選ぶのではなく、論文の内容に合わせて投稿する雑誌を選びます。OAの雑誌は現在3誌(PLOS, BMC, Hindawi)に投稿する事に決まるかと思いますが、結果的にリポジトリ登録可能な雑誌の方を選ぶ傾向があります。
2. リポジトリへの登録許可は外国雑誌が多く、国内雑誌は非常に少ない状況ですが、その点についてどう思われますか?投稿者の多くが国内雑誌を最初から視野に入れていないと思います。
本学の方針でも英文誌へ投稿するという必要性があるので、国内雑誌への投稿自体が少ないです。Original articleについてはどの国内雑誌についてもカウントされません。そのような状況にあるので、リポジトリ登録に国内雑誌が寛大でないのは気になりません。国内雑誌の場合、頼まれたら総説を出すぐらいでOriginal articleは出しません。リポジトリの論議以前に投稿自体が国内雑誌ではなく、外国雑誌へということになります。
3.オープンアクセスを実現して行くための課題についてご意見をお聞かせください。リポジトリは図書館が管理していてアーカイブが保障されますが、OA雑誌は今後、アーカイブ量が膨大になった時にアーカイブが保障されるのか、疑問です。
PLOS ONEの投稿料20万円は高いです。昔は別刷を100部ぐらい頼むとそのくらいの料金になりましたが、現在はPDFで入手できるので普通は5〜6万円の投稿料で済みます。現在、OA雑誌については問題が少ないかもしれませんが、今後、投稿料が値上がるというような状況の変化はあると思います。
4.先生の日々取り組まれている研究について教えてください!歯周病の病原性菌がどのように病変を起こしていくか、菌の研究をしています。
歯周病の菌が感染症を起こすことは分かっています。しかし、100%この菌だということまでは分かっていません。菌は数多く800種ほどあり、その中のどの菌が病気と関わるのか、日々研究しています。口腔内は、一生のうち長いスパンで変わります。1日のうちでも物を食べたり、歯磨きをしても変わり、日々変化しています。
病原菌が悪さする仕組みはだいぶ、解明されて来ています。予防方法に近いものは出てきていますが、確実に予防したり、止めたりすることはできませんし、まだ診断もできません。その菌がいるからリスクは高い、という表現はできるけど、この菌により歯周病の確率何パーセントですよ!という予報はまだできないのです。
ですから、その病原性菌の仕組みの研究をしています。
5.図書館のキャンパス移転について何かご意見はありますか? 雑誌の所在がどこであれ、オンラインでアクセスできない1980年代から90年代頃の論文の入手が可能であれば良いです。
1980年代の論文も研究で使います。考察を書く時は、論文をきちんと遡って調べることが多いです。最近では論文の引用者がきちんと論文を読まずに引用している場合が多いので、誤引用率は高いです。読まずにそのまま、引用するとさらに間違いを重ねる可能性があるので、間違わないためには、必ず自分で引用の論文を読みます。古いものに当たる必要がある場合、古いアーカイブがきちんと入手できるかどうかが問題になってきます。
Abstractだけでは本当かどうかわからないケースがあり、本文を読むことが非常に重要になります。昔は文献を探す時、図書館に行って必要な文献を入手できました。当時はそれで良かったのですが、オンラインで文献を入手しようとすると、その場で見れないことが、ストレスとなってしまいます。オンラインで見られる範囲が増えることを期待します。
(右)石原先生、(左)インタビューに同席した鎌田さん石原先生、ありがとうございました!
明日もお楽しみに。
posted by irucaa at 12:25|
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