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2013年05月07日

「HathiTrustの挑戦:デジタル化資料の共有における「いま」と「これから」」出張報告

いるかです。

整理係の坂本さんが「HathiTrustの挑戦:デジタル化資料の共有における「いま」と「これから」」に参加してきたので、報告してもらいました。

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「HathiTrustの挑戦:デジタル化資料の共有における「いま」と「これから」」
12月18日(火)国立国会図書館 東京本館 新館 講堂
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国立国会図書館主催の標記講演会が「デジタル化資料の共有におけるいまとこれから」をサブタイトルとして開催され、参加しました。
講演会はU部からなり、第T部はHathiTrust事務局長であり米国ミシガン大学図書館副館長であるジョン・ウィルキンス氏によるHathiTrustの取組みについての講演、第2部は、日本における資料デジタル化の動向について、国立情報学研究所、大学図書館、国会図書館の3つの立場から現状についての講演があり、続いて講演者全員によるディスカッションが行われました。

第T部:HathiTrustの取組みについての講演
HathiTrustは、2008年に米国の大学図書館等により開始された共同運営のデジタル化資料のリポジトリで、その使命は、人知の記録の長期的保存およびアクセスであり、信頼できるアーカイブの共有保管のコーディネートである。当初は約200万点のコンテンツでスタートしたが、現在はパートナー館は60機関以上となり、登録資料は1000万点を超えている。パートナー館は協力してそれぞれデジタル化を分担作業で行い、全館がその益を得ることとなる。HathiTrust は、一つの中心的組織があるわけではなく、中央事務局・スタッフはおらず、事務運営は小規模で行っている。その活動は、保存、収集、アクセスのみに限らず資料の統合や著作権調査の支援等に及んでいる。今後は、図書、ジャーナル以外の印刷物以外も対象とする予定。またResearchCenterを作る計画。

第U部:
1)国立情報学研究所(NII)の取組み
  NIIの現行の各種サービスの説明。今後の取組みとしてデジタル資料への直接リンクの推進が挙げられる。具体的には、NDLデジタル資料との連携であり、また、HathiTrustのような大学資料の電子化は、これからの課題である。
2)大学図書館の取組み(千葉大学・竹内比呂也教授)
  日本の大学図書館における資料デジタル化についての議論は、1990年代に活発化したが、その後、電子ジャーナル整備や研究成果発信としてのIRに関心が移行し、低調になった。この10年間は、資料のデジタル化ではなく、デジタル資料の購読という動きだった。今後は、オープンアクセスもさることながら、各大学が重要と思う所蔵資料のデジタル化推進が考えられる。その際、プラットフォームの共有、メタデータの利用可能、全文検索可能、紙資料の保存の調整等を考える必要がある。
 3)国立国会図書館(NDL)の取組み
   NDLにおけるデジタル化の状況について、デジタル化予算は、この10年で9倍と
なった。デジタル化された資料は全蔵書の25%、約225万冊となり、その内、Web上で利用できる資料は43万点である。資料のデジタル化は著作権クリアが基本であるが、平成20年の法改正でNDLは著作権が切れていなくてもデジタル化が可能となった。
また、平成25年1月の法改正で絶版資料の公共図書館・大学図書館へ配信が可能となる予定だが、1年位の準備期間が必要であろう。また、民間のものでもDRM(技術的制限手段)のかかっていない図書・雑誌は自動的に収集可能となる。近年、電子情報に関する取組みを強化しており、平成23年には、電子情報部を設置している。

 4)ディスカッション及び質疑応答
 Q)日本におけるデジタル化の統合規模について、共同的な動きあるか?
 ・NII、IRでは、いろいろ行っている。
 ・検索については、NDLサーチがあるが、デジタルそのものの統合ではない。
 ・著作権処理は、NDL内で独自に行っている。調査したことの共有を検討している。
 Q)HathiTrustへの質問・回答
 ・Googleスキャニングをベースにしているが品質に問題ないか?
  ⇒十分よいレベルである。長期保存に適している。
 ・デジタル化手引きについて、パートナー館へのルール、義務あるか?
  ⇒Webサイト上にガイドラインを掲載している。但し、デジタル化の方法は載せていない。
 ・一つの大学から始まったのが大きく広がったのは?
  ⇒Googleデジタル化のコストが高すぎて独自には出来なかった。集団が参加することがメリットあるということ、他のシステムよりコストを削減できることを示した。
 ・日本において参考になることは?
  ⇒Cloud利用のように、独自の館でもできるようになってきて大学図書館迷っている。
  コストを抑え、良質の情報を与えることを踏まえて、図書館の本来あるべき姿を考え
たことがHathiTrust成功の因ではないかと思う。
  ⇒日本の大学はconsoridationがかけているのではないか?IRはIRで終わってしまっていてデジタル化の中で大学図書館が何をしたらよいか、という議論をもっと深めるべきである(竹内)
 ・Global Resourceについて
  ⇒経済的問題と理想をまとめるのは困難。集団的デジタル化戦略を構築していくことは可能と思う。
 ・Google Bookについて
  ⇒HathiTrustにあってGoogleにないものもあり、逆もある。
 ・メタデータの創出は?
  ⇒提供館に依存している。また、紙とデータの対応は、OCLCのNo.による。プロセスはシステム化されている。
 ・デジタル化された資料の公開はどの程度効果があるか?
  ⇒分野により異なる。その分野の歴史が長いほど役立っている。(人文、数学など)
  ⇒IR、OAが文献入手の変化につながっている。

以上、日本においては、大学図書館等の資料のデジタル化について、IRとの共有も踏まえて、統合的なシステムを構築していく時期にあると考えます。既にデジタル化に着手しているNDLも取り込んだ日本全体のものが望ましいと思います。それにはNIIの役割が大きく期待され、その意味で今回の講演会のHathiTrustは、参考例として理解を深めるのに大変役立ちました。情報の世界が変わっていく今日にあっても、大学図書館として本来何をなすべきか、ということを基本に考えたことがHathiTrustの成功の要因だったとの事務局長の言が印象的でした。因みにHathiTrustの名称は、Hathiとはヒンズー語で象という意味で、象の大きく強いイメージと、安全で信頼できる、という意味が込められているそうです。

http://www.ndl.go.jp/jp/event/events/20121218lecture.html

坂本さん、お疲れ様でした。
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2013年02月06日

「平成24年度第6回目録システム講習会(図書コース)」出張報告

いるかです。

関口さんが「平成24年度第6回目録システム講習会(図書コース)」に参加してきたので、報告してもらいました。

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平成24年度第6回目録システム講習会(図書コース)
12月5日(水)〜7日(金) 国立情報学研究所
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■第1日目
まずは目録検索をして図書を同定することから始まりました。登録する図書を検索することが出来なければ、何もはじめられないので基礎中の基礎でありながら、とても重要な作業だと思いました。またこの目録検索という作業は、いかに効率良く検索出来るかで、所蔵登録までに要する作業時間が大幅に変わってくる箇所だと思いました。検索に関しては普段の業務の際にもOPACを使い日常的にするので手慣れたものだと思っていましたが、NACSIS-CATではまたシステムが違うので分かち書きの問題など戸惑う部分がありました。このことに関してはこれから身に着けていきたいと思います。

■第2日目
階層構造を有する図書及び出版物理単位の有る図書の書誌流用入力をしました。総合目録データベースからの流用入力では、他館の作成した書誌データに上書きしてしまわないように厳重に注意を払わなければいけないと思いました。もし間違って上書きしてしまった場合、その書誌データに所蔵登録をつけている館全体に違う書誌を所蔵しているという間違った情報を強制的に与え、また相互貸借依頼をする館にも混乱を招き業務に支障をきたしてしまいます。上書きしないようにすること自体は簡単な作業ですが、全ての参加館の円滑な業務遂行のため、絶対に間違わないよう気をつけたいと思いました。

■第3日目
新規入力についての講習でした。検索すると90%以上は総合目録データベースまたは参照ファイルに一致もしくは類似レコードが存在するという話を聞いていたので、いざ新規入力になると一から全てを入力しなければならないので、この講習中で一番の難関だと感じました。しかし元から情報の入力されている流用入力と違い不要な部分の修正がないので、その点に関しては、所蔵登録前の最終チェックの際に、どちらが効率的なのだろうと思う部分がありました。また、流用入力の際に用いるデータの選択も作業効率を上げるためには大変重要なポイントだと思いました。実習中に一見似たデータに見え、よかれと思い流用しても、結果的に他のデータを流用した方が効率がよかったということも幾度かあり、このあたりの判断に関してはまだまだ経験が足りないと思いました。今後正しく判断していけるように多くの事例に接し経験を積んでいきたいと思いました。

■総括
初めてこういった講習会に参加させていただいて、また受講する機会をいただいてとても感謝しています。新しい知識が身につけられるということで、行く前からわくわくしていました。受講、3日間ともにセルフチェックテストでは十分理解が出来ていた結果が残せたのですが、実際に書誌データを作ってみると思うように作れず、経験がまだまだ足らないと痛感させられました。今後もっともっと経験を積んでスキルの向上を図っていきたいと考えています。余談ですが、講習会に参加させて戴くことで、普段は接することの出来ない他館の方と交流することができ、他館の業務形態や困った利用者やその対策なども知れて大変有意義でした。また、機会があれば色々な講習会や研修会にも参加したいと強く感じました。このような機会や研修の場を与えて頂ければ、自分の向上にもなりますが、仕事の面でもプラスに働くと思いますので、今後ともよろしくお願い致します。

http://www.nii.ac.jp/hrd/ja/product/cat/cat_curriculum_t.html
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2013年02月02日

「平成24年度第5回目録システム講習会(図書コース)」出張報告

いるかです。

花田さんが「平成24年度第5回目録システム講習会(図書コース)」に参加してきたので、報告してもらいました。

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平成24年度第5回目録システム講習会(図書コース)
10月17日(水)〜19日(金) 国立情報学研究所
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1日目
当日は全国から29名の大学図書館や企業の目録担当者が集まりました。初日の講習は、目録の検索、登録についての総論、図書登録実習といった内容でした。検索においては、単語の読み、漢字形、表記形によってモレやノイズの多さが変わってくること、親書誌、子書誌のどちらで書誌が登録されているか、どのような検索をすれば書誌の同定が適うかといったことを考えながら検索することの難しさを感じました。
図書登録実習では所蔵登録、書誌流用入力について学び、基本的な登録作業について学びました。今回の講習の土台になっていると感じました。個人的には事前に業務中に所蔵登録を練習として行っていたので、知識は頭に入り易かったです。

2日目
前日の検索の復習も兼ねた、書誌の流用入力・リンク形成についての講義でした。リンク形成に関しては、書誌レコード登録時には必ず他のレコードとリンクを形成しなければならないこと、所蔵リンク、書誌構造リンクが必要不可欠であることを実際に入力しながら学びました。
残りの時間は自由演習となり、自分の好きな課題を淡々とこなしていったのですが、入力漏れなどが目立ち、なかなか完璧なレコードとすることができませんでした。どのフィールドに何の情報を入力するのか、必ず入力しなければならないフィールドは何か、といったルールを把握し登録していけるようになることは、実際の業務において培われていくものなのだということを痛感しました。

3日目
最終日は書誌の新規入力、修正、レコードの削除方法についての講義となりました。また、書誌の修正指針についても講義を受けました。安易な検索や登録で重複書誌レコードを作成してしまうと、他館やNIIにも迷惑をかけてしまうことから十分な配慮を持ってレコードを作成して欲しいという講師の方々思いが伝わる講義だと思いました。

毎回、目録情報の基準を参照しながら課題に取り組みましたが、事前のセルフラーニングによる知識がなければ、スムーズに作業することは出来なかったと感じました。登録の一連の流れは、何題か課題をこなすと理解できるようになってきますが、階層構造のある書誌の例など、少しひねった問題が出ると細かいミスが連続してしまい、改めて目録情報の基準など参照し確実なデータとすることが難しいと感じました。所蔵登録の業務に携わるようになったら、自分の判断で進めず、疑問に思ったことはすぐに目録情報の基準やコーディングマニュアルを参照して解決していかなければならないと思いました。図書館資料の扱いは自館の中だけの問題だけではなく、他館やNIIと共に管理していくものなのだという新たな考えができるようになり、また、新たな業務に携わることができるスキルを身に着けることが出来た、とても意義のある講習会だったと思います。

http://www.nii.ac.jp/hrd/ja/product/cat/slcat_dl_t.html

花田さん、お疲れ様でした。
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2013年01月26日

「JUSTICE版元説明会(関東地区):CLOCKSS講演」出張報告

いるかです。

総務係の島田さん、整理係の坂本さんが「JUSTICE版元説明会(関東地区):CLOCKSS講演」に参加してきたので、報告してもらいました。

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JUSTICE版元説明会(関東地区):CLOCKSS講演報告
9月12日(水)明治大学
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CLOCKSS事務局長であるR.S. Kiefer氏により、CLOCKSSとはどんなプロジェクトか?ということから、その目的、活動状況について講演があった。

・CLOCKSS(Controlled Lots of Copies Keep Stuff Safe)は世界の主要な学術出版社や研究図書館が結集して非営利組織として共同運営すデジタルコンテンツ・アーカイブプロジェクトである。保存が主目的で、通常の利用は前提としていないダークアーカイブ。
・出版社の廃業、雑誌の廃刊等で入手不可となった資料(トリガーコンテンツ)は誰もが無料で永久的にアクセスできるように提供する。
・CLOCKSSアーカイブは現在、世界の12の地域の研究図書館等に配置されたアーカイブノードに分散して保存している。そのため地球のどこかで災害等が発生しても、他の地域でのアーカイブ存続が保障されている。12の図書館等の一つが日本のNII(国立情報学研究所)である。
・図書館資料の電子化が進む中、図書館には、これらの学術的コンテンツを保護する責務がある。
・CLOCKSSには、安価な費用で誰もが参加可能。参加は、コンテンツ提供への代価ではなく、協賛金であり、電子資料保存への世界的ネットワークの構築・運用に貢献すること。

最後にNIIよりJUSTICE参加館へ向けてCLOCKSSへの参加提案がなされました。
年会費は一律145US$。現在、世界国中で250大学が参加、その内日本は30大学が参加しています。世界的ネットワークで運営される同プロジェクトに対して、学術情報を扱う大学図書館としては、個々の図書館レベルの問題ではない大きな意義を感じます。
CLOCKSSの詳細については、上記講演内容も含めJUSTICEのホームページ上にわかりやすい解説が掲載されています。ぜひご一読ください。(坂本 記)

http://www.nii.ac.jp/content/justice/project/clockss.html

島田さん、坂本さん、お疲れ様でした。
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2013年01月16日

「第5回 SPARC Japan セミナー2012」出張報告

いるかです。

閲覧係の阿部さんが、「第5回 SPARC Japan セミナー2012」に参加してきたので、報告してもらいました。

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第5回 SPARC Japan セミナー2012
平成24年10月26日(金)10:00〜16:30 国立情報学研究所
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生命科学はどうしたらオープンになるか 有田 正規(東京大学大学院理学系研究科 生物化学専攻)
http://www.nii.ac.jp/sparc/event/2012/20121026.html#arita-abstract
http://www.nii.ac.jp/sparc/event/2012/flv/20121026_4.flv

日本の生命科学界はとても「オープン」と言える状況とは言えず、決してオープンアクセスを支持しているわけではない。研究成果を上げるには経営者的にエラくなるのが一番であり、インパクトファクター偏重である。CNS(Cell・Nature・Scienceに投稿したい)症候群と言うこともできる。では、なぜ生命科学界でオープンアクセスが盛んなのかと言えば、PLOS Oneに代表されるように、IFが高いからであり、OA誌はかっこいい、というノリもあると言える。では、今後の科学はどうなっていくかと言えば、データの囲い込み、研究クラブ、研究者=特権階級という「伝統サイエンス」から「オープンサイエンス」へ移行するであろう。その時、学術雑誌は「研究同人誌」から「研究報告書」へと変わっていくはずである。また、学術雑誌はGold OAが主流となることにより、研究者と出版社が直接つながり、図書館にゲートキーパーとしての役割はなくなるであろう。今後はレーティング(いいね!とか)がゲートキーパーの役割を果たすはずである。つまり、ジャーナルもウェブもフラットになるわけだが、よりクオリティの高いものを残すにはブランドを考える必要がある。FBやtwitterのような評価体制をどのようにアカデミアに取り込むかを考える必要があるわけだが、その時には資金が問題になる。Basic Income(基本資金)を若手も含めて、すべての研究者に与えて、評価された人に資金が集まる仕組みを作ってはどうだろうか?長期的にはJ1、J2の入れ替え戦のように、研究費もコンペティションをすべきだろう。

OAをきっかけとして、学術情報流通のみならず、「科学」そのものが変化していくことが見られるとはすごい時代だと思う。「オープン」な時代はすぐそこまで来ており、研究者もその意識の改革が迫られていることが分かった。そのような変換期の中でOAが図書館にもたらすものは何か?図書館が果たす役割とは何か?を見極め、今後の方向性を定めていく必要があると感じた。

第5回 SPARC Japan セミナー2012
「Open Access Week − 日本におけるオープンアクセス,この10年これからの10年」
http://www.nii.ac.jp/sparc/event/2012/20121026.html

阿部さん、お疲れ様でした。
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2012年12月26日

「第19回医学図書館研究会・継続教育コース」出張報告

いるかです。

整理係の伴さんが、「第19回医学図書館研究会・継続教育コース」に参加してきたので、報告してもらいました。

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第19回医学図書館研究会・継続教育コース
平成24年11月5日(月)〜7日(水)東京医科歯科大学
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1. 医学図書館研究会について
研究会では、12人の発表者が、それぞれ日頃の調査や業務における研究を発表した。12分以内の発表で、緊張のせいか途中で無言になる発表者、時間内に終わらなくて焦っている発表者、そして自分の研究した事に対して、自慢げに!?発表する発表者もいて、いろいろな面で興味深く感じた。

私がこの研究会で、一番聞きたかった発表は、私が産まれ、そして息子・娘たちも産まれた習志野済生会病院(旧国立習志野病院)図書室の佐藤さんの発表である。佐藤さんの発表は、病院図書室における事例であり、中でも「看護師さんへの対応」について話してくださった。司書1名、常勤事務職員1名しかいない中で運営していかなければならない苦労・大変さがものすごく伝わった。また看護師さんが忙しい中で、司書はどのようにサポートしていくかについて、私自身も大変勉強になり、これからの千葉校舎における図書館の役割を改めて考えていかなければならないと思った。また済生会病院と同じように、千葉病院・市川総合病院もスタッフ用図書室、患者用図書室をつくってもいいかなと思った。(いろいろと制限はあるかもしれないが)

その他にも黛くん(東邦大)の「XooNIps(ズーニプス)を利用した東邦大学学術リポジトリの構築」や森さん(奈良県立医科大学)「奈良県立医科大学附属図書館におけるTwitterによる情報発信」の発表もなかなか面白く興味深い発表であった。

2. 継続教育コースについて
継続教育コースでは、お二方の講演と専門職として必要な技術の習得を目的とした文献検索講習(医中誌、PubMed)であった。

残念ながら、文献検索講習の方は、限られた時間(80分)で、また中身が多いというか大きいということもあり、受講者ほぼ全員の人がついていけていないような気がした。サイトに載っている、スライド・配布資料を基に今後復習していくしかないと思う。

講演については、やはり研究会での発表者とは比べものにはならないほど、分かりやすい発表であった。上村先生の講演では、ピロリ菌と胃がんの関連について興味深く説明してくれて、「バリウムの検査」は意味がないということには正直驚いた。確かにバリウムの検査も受診率が低いので、私も来年の健康診断では、「バリウムの検査」(胃検診)はやめようかなと思った。富田先生の講演もまた研究会の佐藤さんの発表と同様、非常にためになった。看護師の資格を持ち、並びに図書館情報学の専門の富田先生の発表は、看護師の立場から見た図書館員の存在について分かりやすく説明してくれて、「図書館員は、看護師の最強の支援者になる」ということには深く感銘した。

今後の東京歯科大学3病院の看護師の図書館に対する認識不足に関して、考えていかなければならないということを改めて感じた発表であった。

http://plaza.umin.ac.jp/~jmla/event/res/res.html
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2012年12月10日

「rliaisonプロジェクトワークショップ」出張報告

いるかです。

閲覧係の阿部さんが、「rliaisonプロジェクトワークショップ」に参加してきたので、報告してもらいました。

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rliaisonプロジェクトワークショップ
9月11日(火)東京歯科大学水道橋校舎本館13F
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9月11日(火)、本学と共催で開催された「DRF-WS rliaison」に、会場担当のスタッフとして参加しましたが、それぞれの発表を聞くこともできました。特に印象に残った発表について報告いたします。

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「専属司書制+学年担任司書制:学習支援活動への敷衍と展開(発表者:小樽商科大学・南絵里子)」
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常勤図書館員5名の体制で教員126名に対して、1教員に2図書館員を担当とし、「顔が見える」図書館を目指しているとのことであり、年に一度は担当している教員の研究室を訪問し、ブックガイドへのコラム寄稿依頼等、図書館サービス全般に関する話を伺っているとのこと。その成果は、図書館会議で発表(館長も同席)しており、館内での情報共有として、非常に有効であるとのことであった。また、同訪問には他部署の研究協力係も同行していることも特徴的である。

さらに、それを押し進めた「学年担任司書制」も印象的であった。1学年550名程度とのことであるが、Facebookを利用した情報提供や新入生向け講習会を担任である図書館員が実施しているとのことである。

研究室訪問や他部署連携は「大学図書館の整備について(審議のまとめ)」*1 や「図書館職員の人事政策課題について(提言)」*2 にて言及されており、機関リポジトリ普及や図書館スタッフの人材養成においては効果的な手段であると思われる。また、本学自己点検・自己評価の到達目標には「学生の学習活動を支援するための環境を整備し・・・」と、あるわけだが、来年以降、校舎・図書館が学年別に分散される本学において「学年担任司書制」は学習活動支援に適した仕組みかもしれないと感じた。

*1 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/toushin/attach/1301610.htm
*2 http://www.janul.jp/j/projects/hr/jinjiseisakukadai.pdf

http://drf.lib.hokudai.ac.jp/drf/index.php?rliaison_Workshop

阿部さん、お疲れ様でした。
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2012年11月12日

「平成24年度図書館等職員著作権実務講習会」出張報告

いるかです。

閲覧係の鎌田さんが、「平成24年度図書館等職員著作権実務講習会」に参加してきたので、報告してもらいました。

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平成24年度図書館等職員著作権実務講習会
8月8日(水)-10日(金)東京大学本郷キャンパス
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講習会を受講して、まずは著作権法というよりも「そもそも著作物とは何か?」という基本的な点から、自分の中で不明確であったと感じた。著作権法が適応されるかどうかを考える前に「そもそもそれが適応対象となる著作物であるか?という切り分けが出来ると解決の糸口が見えやすいと解説があり、今後の参考としたいと思った。

 著作権法は司書講習過程でも学習する内容ではあるが、第31条(図書館等における複製)に関する解説が主であるため、今回の講習会のようにいくつかの条文を読込んで解釈を行い、具体的な事例も交えながら学習するアプローチは新鮮であった。また著作者人格権や著作隣接権、31条以外の権利制限規定についても学習でき、その上で著作権は権利者に無断で「○○出来ない権利」と読むことが出来るという解説も今まで思いつかなかったので新鮮に感じた。

 各論の講義では「文献複写サービスについては各図書館でルール整備をすること、疑問点やトラブルが生じた際に、著作権法に照らし合わせて判断できる人材を育成する事が必要だ」という趣旨の解説があった。図書館は、図書、雑誌、電子ジャーナル、CD、DVDなど媒体は違うものの資料のほとんどは「著作物」であること、また大学図書館として学習や研究を支援する機関であることからしても、図書館員が著作権法について正しい理解、適切な解釈が出来る知識を持ってサービスを行う必要がある。今回の講習会で学んだことや10月からの著作権法の改正箇所等について、図書館の勉強会で報告発表して情報共有を図るとともに、今後の図書館でのコピーサービスに関する疑問やトラブル対処法について館員で議論をしてサービス向上に努めたいと感じた。

http://www.bunka.go.jp/chosakuken/seminar/pdf/h24_saisoku.pdf

鎌田さん、お疲れ様でした。
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2012年09月20日

第73回私立大学図書館協会研究大会「個性化の戦略 −創造する大学図書館−」出張報告

いるかです。

整理係の石塚さんが、「第73回私立大学図書館協会研究大会「個性化の戦略 −創造する大学図書館−」」に参加してきたので、報告してもらいました。

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第73回私立大学図書館協会研究大会「個性化の戦略 −創造する大学図書館−」
8月31日(金)慶應義塾大学三田キャンパス
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特に心に残ったプログラムは6番の講演で中嶋嶺雄先生による、演題「国際教養大学の挑戦と図書館」である。「グローバル化」(Globalization)と言う言葉が1944年に2人の理系の社会学者に寄って使われたのが最初であり、「国際化」(Internationalization)はヤルタ協定の中で使われていると言う、歴史的かつアカデミックな解説から、先生のオーストラリア国立大学やカリフォルニア大学サンディエゴ校での客員教授時代、いかに図書館に助けられ、図書館の重要性の認識を深めたと言うお話など、国際教養大学の開校の苦労話、中嶋先生の教育にかける志と熱意など、どの点においても、刺激的かつ参考になるものであった。何より先生の図書館を大学の中で非常に大切に位置づけ、運用を図っている事に感銘を受けた。

閉会式の際にご挨拶で語られた館長のお話の中に、図書館が図書館としてのアイデンティティをいかに保持し、提示できるのか、大学の心臓である図書館を知の交差点にして行く、まさにメインテーマの個性化の戦略 −創造する大学図書館を本日のプログラムの中にはヒントが散りばめられており、実践につなげて行けたら良いとまとめられていた。自館においても移転目前で物理的に問題山積だが、モチベーションを高めて行きたいと想えるひとときであった。

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http://www.jaspul.org/news/2012/08/73.html
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2012年09月12日

第4回 SPARC Japan セミナー2012「研究助成機関が刊行するオープンアクセス誌」出張報告

いるかです。

閲覧係の阿部さんが、「第4回 SPARC Japan セミナー2012「研究助成機関が刊行するオープンアクセス誌」」に参加してきたので、報告してもらいました。

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第4回 SPARC Japan セミナー2012「研究助成機関が刊行するオープンアクセス誌」
8月23日(木)国立情報学研究所 20階 講義室 1,2
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Green Road(セルフアーカイブ)とGold Road(オープンアクセス誌)のどちらかを選べと、問われれば、おそらくGold Roadを選ぶだろう、という機関リポジトリ担当者として、若干の自己矛盾も感じつつ、APC(Article Processing Charge:論文処理料金)が当面無料というセンセーショナルな登場を果たした『eLife』誌に興味を感じ、当セミナーに参加した。

『eLife』誌は、資金が豊富な財団をバックにしたAPC無料のOAジャーナルという枠にとらわれず、特徴ある取り組みを進めている。中でも、ボーンデジタルの特性を生かしたリッチメディアの推奨、使い勝手の良い基礎データやサプリメントデータの提供、すべての図表に識別子を付与すること、これらは電子ジャーナルの今後の方向性を打ち出したものなのかもしれない。また、インパクトファクター(雑誌単位での評価)を離れ、論文そのものがどのようなインパクトを与えているかを一目で分かるようにするインターフェースを用意することで、論文掲載後も付加価値を与え続ける、という点も印象的だった。

 『PLoS ONE』の成功、『PeerJ』の創刊、そして『eLife』の登場、OAにインパクトを与えるメガジャーナルの動向に今後も注目していきたい。

http://www.nii.ac.jp/sparc/event/2012/20120823.html

阿部さん、お疲れ様でした。
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2012年09月04日

第8回学術情報ソリューションセミナー2012 in 東京「進化する学術情報サービスと高まる図書館の役割」出張報告

いるかです。

整理係の伴さんが、「第8回学術情報ソリューションセミナー2012 in 東京「進化する学術情報サービスと高まる図書館の役割」に参加してきたので、報告してもらいました。

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第8回学術情報ソリューションセミナー2012 in 東京「進化する学術情報サービスと高まる図書館の役割」
6月29日(金)
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海外の学術雑誌が高騰する中で、コンソーシアムによる共同購入の必要性を感じたそれには「購買力」と「交渉力」の強化が必要不可欠であるとのこと。また、コンソーシアムの問題点として、活動組織、及び連携が弱いとのことなので、懇談会の開催や委員会との間で協定書を締結し、連携の強化が必要であるとのこと。

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http://www.sunmedia.co.jp/information/2012solution_tokyo.pdf
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伴さん、お疲れ様でした。
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2012年08月14日

「2012年データベース・ワークショップ:情報リテラシーと図書館の教育研究支援」出張報告

いるかです。

閲覧係の鎌田さんが、「2012年データベース・ワークショップ:情報リテラシーと図書館の教育研究支援」に参加してきたので、報告してもらいました。

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2012年データベース・ワークショップ:情報リテラシーと図書館の教育研究支援
7月20日(金)トラストシティ カンファレンス・丸の内
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大学図書館、学校図書館、公共図書館の方200人を超える参加者があり、大変盛況なワークショップでした。

基調講演・分科会、どれも非常に興味深かったのですが、青山学院大学・野末俊比古先生の基調講演で

・図書館の存在意義を訴えるためのひとつのキーワードが「情報リテラシー」
・将来図書館は、「本を借りるところ」から「学習の場、研究の場」として認識されていくのではないか?
・メディアの違いを超えた図書館の役割を考える必要がある
・利用者について、目に見える行動だけでなく、ぜひ利用者の「心理」にも目を向けてほしい(図書館不安を取り除く)

というお話が特に印象的でした。

上記は、大学図書館や公共図書館、文系の図書館や医学系の図書館などの館種を問わずどこにでも当てはまるお話ではないかと思いました。

ワークショップ全体を通して、これからの図書館での情報リテラシー教育や教育支援体制について考えさせられるトピックが満載で、充実した1日となりました。

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http://www.kinokuniya.co.jp/03f/dbworkshop2012.htm
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鎌田さん、お疲れ様でした。
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2012年06月07日

「第83回日本医学図書館協会総会・分科会(2012年度)」出張報告

いるかです。

整理係の石塚さんが、「第83回日本医学図書館協会総会・分科会(2012年度)」に参加してきたので、報告してもらいました。

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第83回日本医学図書館協会総会・分科会(2012年度)
5月25日(金)日本科学未来館
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分科会Aやってみよう!図書館での医療・健康情報サービス〜業務の基本を学ぶ・拡げる〜
3人の方の講演を聞いて、JMLAのWGの成果がワークショップ実践を通して参加者に有意義に行われている事が理解できた。とても社会的に意義深いことと感じた。WGの方々の熱意と実行力に学ぶところが多い。午後の講演、2コマ(選書)(医療・健康情報の評価)が聴けなかったのは残念だが、冊子をみるとかなりわかりやすく書かれているのが分かった。

分科会C 医歯薬分野における日本型電子出版の課題
電子出版実現へは利害が絡むのでまだまだ、出版社側の見解は難しいと感じた。しかし、JMLAとJMPAの話し合いは重ねて行くことが出版へ近づく一歩と思えた。技術的面が可能であるなら、すでに時間の問題とも考えられる。電子ジャーナルのように冊子+電子でまず、始まるのが有効かもしれない。

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http://plaza.umin.ac.jp/~jmla/sokai/83rd_sokai/bunkakai_info.pdf
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石塚さん、お疲れ様でした。
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2012年04月26日

「図書館員のための医学の基礎知識講座」出張報告

いるかです。

閲覧係の阿部さんが、「図書館員のための医学の基礎知識講座」に参加してきたので、報告してもらいました。

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図書館員のための医学の基礎知識講座
2月3日(金)北里大学白金キャンパス薬学部1号館
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関西医科大学・山田久夫先生の講義では医学の歴史、人体の構造と機能、医学部の特徴、図書館の今後について話されました。どのトピックも大変興味深く、勉強になりましたが、「人体の構造と機能」のセクションは、理科が苦手な自分にとっては、内容については理解不能でしたが、基礎医学を医学生がどのように学んでいるかを理解することが出来ました。
医学図書館の生き残り対策ということで、いくつかの案を提示していただきましたが、「チュートリアルルームの取り込みとシナリオ作成への関与」は、今後、当館での取り組みの可能性を探っても良いのでは、と思いました。

東京慈恵会医科大学・阿部信一氏の講義ではMeSHについて実践的に学びました。登録されたMeSHから論文の内容を推測する、論文の内容からMeSHを推測する、という課題はMeSHの理解と文献検索の訓練として非常に有効であると感じました。また、当館で直後に実施した文献検索講習会でも、MeSHについて紹介するのに非常に有効でした。我々スタッフの研修として実施しても良いかと思いました。

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http://plaza.umin.ac.jp/~jmla/info/kisochishiki2.pdf
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阿部さん、お疲れ様でした。
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2012年03月09日

JANULシンポジウム「学術情報流通の改革を目指して5」出張報告

いるかです。

整理係の石塚さんが、「学術情報流通の改革を目指して5」に参加してきたので、報告してもらいました。

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国立大学図書館協会シンポジウム「学術情報流通の改革を目指して 5 〜電子ジャーナル・コンソーシアムとバックファイルの基盤整備〜」
2月7日(火)東京大学生産技術研究所 コンベンションホール
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国立大学図書館協会(JANUL)主催、国立情報学研究所(NII)共催、大学図書館コンソーシアム連合(JUSTICE)後援で開催されたのが、今回のシンポジウム。ドイツ、フランスはコンソーシアム活動が進んでいて、電子ジャーナルの完備が国レベルで行われている。米国よりも学ぶべきところが多く、お二方を招いてのシンポジウム開催となった。

●  Markus Brammer氏(ドイツ・TIB)
目的:電子資源をドイツの研究機関学術機関に提供するため。科学者、学生対象で自由にDBにアクセスし、使えること。 学生は大学のネットワークを通してアクセス。2004−2010年のプロジェクト。9つの機関が参加。年度ベースで資金提供あり(連邦政府、地元の援助、16の機関の資金提供)。9つの機関をまとめたのが、DRF(ドイツ学術振興会)。分野別ワーキンググループがあり、特定の分野ごとに討論を重ね、ふさわしい交渉者を決定し、交渉を行い、情報交換をしあう。

● Andre Dazy氏(フランス・Couperin)
Couperin(クーペリン)はフランス唯一のコンソーシアム、共同組合のようなもの210のメンバーからなり、300〜800ユーロ払って活動。
Couperinの活動目的: 
電子的ライブラリー。メンバーに対してベストな価格で提供の交渉。国レベルで学術情報に  アクセスし、皆が平等に情報をとれるようにする。その他の作業としては商業ベースではない学術情報の流通、促進、Contents開発。
Couperinの2つの部門。1.研究予測。運営促進、新しいリソース。 2、交渉担当。
商業的なところに偏った運営にならないように、言論の自由、ロビー活動、新しい事に実験的チャレンジ。

●関川雅彦氏(JUSTICE委員長・筑波大学)
 配布資料を参照。
JUSTICE参加館ではバックファイルの整備に2010年総額6億円が拠出されている。特にこれらについて国レベルで、NIIと大学図書館による共同整備の取り組みを一層強化する。

●パネルディスカッション(静岡大/加藤憲二氏、NII/安達淳氏、Brammer氏、Dazy氏、筑波大/関川雅彦氏)
日本においてはなぜ、ドイツ、フランスのようにNational Lisenceがうまく行かないか。両国に学ぶべき、ところが多い。情報格差をなくすために政府を動かすことが必要。ドイツでは資金が出される、図書館支援の定義があり、図書館支援プログラム、拡充するためのグループがある。フランスも政府も政治家もより良いプロジェクトに資金提供をしてくれる。ユーロの経済危機前だったので、予算ももらえたと思う。

●感想
現状は厳しいけど、目標は高く・・・大学格差なく、地域格差なく、研究者が電子資料にアクセスできたら、良いと思う。ドイツにしても最初は委員会のような小さなものからスタートし、コンセンサスを作り、サービスの評判良く、それがプロジェクトに発展。国家の特別予算を獲得・・・。やはり、地道なところからの出発、ネットワーク作り、情報交換が重要なのだと思える。出版社と応対して行くのは並大抵ではない。JUSTICEは国立大学と私立大学のコンソーシアムがひとつになり、世界でも有数のコンソーシアム組織となった。少しずつでも事態が進展し、電子ジャーナル利用が個々の環境によってしまうのでなく。てより開かれた世界になってくれることを願いたい。

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http://www.nii.ac.jp/content/justice/news/2012/0105111529.php
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石塚さん、お疲れ様でした。
posted by irucaa at 14:51| 出張報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月05日

「学術コンテンツサービスの舞台裏」出張報告

いるかです。

閲覧係の阿部さんが、「学術コンテンツサービスの舞台裏」に参加してきたので、報告してもらいました。

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第13回図書館総合展:学術コンテンツサービスの舞台裏 -基盤技術をめぐる国内外の取り組み-
11月10日(木)パシフィコ横浜
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研究者を同定するための「名寄せ」について、NIIの取り組み、世界的な取り組みであるORCIDについてご紹介いただきました。

「信頼できる著者とその業績に信頼できる属性を付与することで、永続的で明確で曖昧性のない学術コミュニケーションの記録を作ることを支援する」のがORCIDです。一口に「著者」と言っても、同姓同名、英名、同音異語、イニシャル表記、旧姓、さまざまに表現されている可能性があります。それらを同一人物として同定することを「名寄せ」と呼んでおり、NIIをはじめとして様々に取り組みがされています。

様々なデータベースで、同じような取り組みがされているのはやはり、それだけのニーズがあるからなのだと思いました。当館においても蔵書目録をはじめとして様々なデータベースを構築しているわけですが、リポジトリについても同様の取り組みを行うことで、原稿を提供してくださる先生方に少しでもメリットを打ち出すことのできるデータベースへと成長させることが可能かと思いました。

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http://2011.libraryfair.jp/node/141
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阿部さん、お疲れ様でした。
posted by irucaa at 12:26| 出張報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月17日

「機関リポジトリ新任担当者研修」出張報告

「機関リポジトリ新任担当者研修」出張報告

いるかです。

閲覧係の鎌田さんが、「機関リポジトリ新任担当者研修」に参加してきたので、報告してもらいました。

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平成23年度 機関リポジトリ新任担当者研修(NII会場第1回)
10月6日(木)〜7日(金)国立情報学研究所12F会議室
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1.5日の日程で開催された研修でしたが、概論から登録実習まで機関リポジトリを運営する際に必要な知識がぎゅっと凝縮された研修会でした。どの講義も面白く、あっという間に時間が過ぎてしまいました。

特にコンテンツ登録時の著作権処理とメタデータ概論については、あいまいな知識しかなく不安に感じていた分野だったので、丁寧に解説頂けて勉強になりました。

またグループ討議では、それぞれが事前に作成したスライド資料を持ち寄って討議を行い、「コンテンツの提供依頼」をテーマに5分間のプレゼンテーションを作成、発表を行いました。討議では、先生に知ってほしいことは何か?また先生が知りたいことは何か?を考えながら作業をしました。5人で話し合って1つのプレゼンテーションを仕上げて達成感もあり、それ以外にもそれぞれが業務で感じていることや疑問なども率直に話合えた事も研修に参加してよかったと感じました。

今回の研修では、担当者として必要な知識を習得する機会を頂きましたが、同時に自分の業務を振り返り反省する機会にもなりました。例えば、「広報・コンテンツ収集」の講義で「コンテンツから教員へと視点を移す」というお話でリポジトリの先にある研究者が見えていなかった自分に気が付いたり、またIRUCAA@TDCについても知らない事があったり・・・と自分のリポジトリ業務への姿勢を反省し、見直す事が出来ました。

今後は「教員からの協力なくしてリポジトリは成長しない」と心にとめて、真摯に、出来ることから少しずつ実践して、IRUCAA@TDCの成長に貢献したいと思いました。

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http://drf.lib.hokudai.ac.jp/drf/index.php?training%2Fbeginner_2011_2
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鎌田さん、お疲れ様でした。
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2011年11月09日

「私立大学図書館協会総会・研究大会」出張報告

いるかです。

閲覧係の阿部さんが、「私立大学図書館協会総会・研究大会」に参加してきたので、報告してもらいました。

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私立大学図書館協会総会・研究大会
9月2日(金)国際会議場 井深大記念ホール
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■筑波大学:宇陀則彦先生
図書館活動については学習支援を第一に考えるべきである。ひいては、受験生へのアピールにもつながる。広報の目玉になることを考えるべき。そのためには情報収集は怠ってはならない。

単なる空間提供ではなく、カリキュラムありきのラーニングコモンズの構築が必要である。そのためにもシラバスを読むなど、大学教育の実態の把握に努めるべき。また、大学生とはいえ、勉強の仕方を知らない生もいるはずであり、だからこそ、教室でない図書館での学習支援もニーズがあるはず。
ex.永田:大学図書館における新しい「場」 http://hdl.handle.net/2237/14577

■明治学院大学:三上耕一氏
図書館として、独自性の模索が必要である。学習支援へのアプローチはそのひとつ。館員参加型で業務の創造性の役割分担をすべき。

■クレオテック:田中康雄氏
全般的に図書館業務は標準化しやすいので、委託もしやすいと言える。一方でレファレンスの標準化は難しい。大学からの業務の丸投げということでなく、ベストモデルの構築を目指しており、そのための業務評価システムを構築中である。学園情報の共有が大切であり、大学や図書館の事業方針に沿った事業方針が必要。

■お茶の水女子大学:羽入佐和子学長
図書館は大学の中で唯一アカデミックな公共の場であり、図書館は様々な部局をつなぐハブ的役割を担うべきである。大学当局との交渉においてはストーリーを考えることが重要である。

■文科省:丸山修一氏
過去から現在の審議のまとめについて、頻出のキーワードは「人材育成」である。ラーニングコモンズについては、定義が曖昧だが、確立すると画一的になる恐れもあるので注意が必要。
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それぞれの立場から図書館に対するコメントをいただいたわけですが、図書館の将来へのヒントが多く散りばめられていたと思います。図書館だけで完結するのではなく、教員、学生、他部署と有機的に連携することで、図書館がなくてはならない存在感を出すことができるのではないかと感じました。そのためにも、大学で行われている事業やビジョンを理解、把握する必要があると思いました。

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http://www.jaspul.org/event/soukai2011_siryo.pdf
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阿部さん、お疲れ様でした。
posted by irucaa at 15:38| 出張報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月25日

「Shibboleth環境の構築」出張報告

いるかです。

閲覧係の阿部さんが、「Shibboleth環境の構築」に参加してきたので、報告してもらいました。

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平成23年度第2回情報処理技術セミナー「Shibboleth環境の構築」
8月4日(木)〜5日(金)国立情報学研究所 20 階・実習室
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学術認証フェデレーション(学認:GakuNin)にて採用されている認証プラットフォームであるShibbolethの構築を実習にて研修してきました。電子ジャーナルやデータベースを提供するサービスプロバイダ(SP)、認証基盤を提供するアイデンティティプロバイダー(IdP)、両方の環境を構築することにより、それぞれがどのような仕組みで動作するのかを理解することができました。

図書館としてはIdPサーバーの構築をすることで、電子ジャーナルやデータベースを自宅などの学内LAN以外の環境からもアクセス可能になるため、導入に向けて検討を進めていくべきだと思いました。導入にあたっては外部公開用のサーバーとSSL証明書が必要になります。現在リプレース予定中のOPACサーバーに導入できれば一番効率が良いと思いました。

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http://www.nii.ac.jp/hrd/ja/joho-karuizawa/h23/curritxt.html
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阿部さん、お疲れ様でした。
posted by irucaa at 15:02| 出張報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月12日

「日本医学図書館協会第18回基礎研修会」出張報告

いるかです。

市川総合病院分館の狩野さんが、「日本医学図書館協会第18回基礎研修会」に参加してきたので、報告してもらいました。

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日本医学図書館協会第18回基礎研修会
8月3日(水)〜5日(金)東京慈恵会医科大学
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3日間で講義1〜7と基調講演、グループ討議・発表がありました。

講義は、医学図書館協会の活動について、図書、情報検索(PubMed、医中誌)、電子リソース、雑誌、相互貸借についての基本的な内容でした。基本的な内容ですが、普段あまり使わないために忘れてしまっていたことや、なんとなくわかっていたものについても復習できました。特に文献検索は、確認作業として使うことが多く、通常の検索方法が少し不安だったので、勉強になりました。

基調講演は愛知淑徳大学人間情報学部の山崎茂明先生による「医学文献の世界に耳を傾ける」でした。URMの経緯や、重複投稿、ゴースト・オーサーシップなどの文献における諸問題について知ることができました。

グループ討議は、集まったメンバーの抱えている問題や、知りたい情報について、特に選書や除籍について話し合いました。大学図書館、病院図書室、専門学校図書室、公共図書館と、様々な館種の担当者が集まったため、方法も様々で参考になりました。館種によって利用者が違うため、選書方法やリクエストへの対応が異なるのは当然という意見が出ましたが、逆に、除籍についてはどの館も大まかな基準(汚損・破損・不明本等)しかなく、医学図書館協会で明確な基準を作成してほしいという意見が出ました。

色々な館種・地域の方の意見を聞くことができて、とても有意義な時間を過ごすことができました。

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http://wwwsoc.nii.ac.jp/jmla/event/kako/kiso.html
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狩野さん、お疲れ様でした。
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